もしもの時に慌てない!ペット初心者さんのための愛犬と災害を乗り切る準備
災害はいつ、どこで起こるか予測できません。地震、台風、豪雨など、もしもの時に愛するペット、特に初めて迎えたばかりの愛犬とどう過ごせばよいか、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。日頃からしっかりと備えておくことで、災害発生時の混乱を最小限に抑え、愛犬と共に安全に過ごすことにつながります。
このコラムでは、ペット初心者さんに向けて、愛犬との災害対策として具体的にどのような準備が必要なのか、もしもの時にどのように行動すればよいのかを解説します。
愛犬のための「非常用持ち出し袋」を準備しましょう
災害が発生し、自宅での生活が困難になった場合、避難所などへ避難する必要が出てくる可能性があります。人間用の非常用持ち出し袋とは別に、愛犬のための非常用持ち出し袋を準備しておくことが非常に重要です。リュックなどにまとめておき、すぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。
非常用持ち出し袋に入れておきたいものリスト:
- フードと水: 普段食べ慣れているフードを最低5日分。水は、人間用とは別にペット用として用意しておくと安心です。開封しやすいウェットフードなども便利です。
- 常備薬・療法食: 治療中の場合や、アレルギーなどがある場合は必ず必要量を用意します。かかりつけの動物病院の連絡先や診断書などの控えもあると良いでしょう。
- リード、ハーネス、首輪: 普段使っているものとは別に予備があると安心です。避難所などではリードは必須となります。
- クレートまたはケージ: 避難所や移動中に愛犬が安心できる場所となり、他の人や動物とのトラブルを防ぐためにも役立ちます。慣れているものを用意しましょう。折りたたみ可能なものが便利です。
- ペットシーツ、排泄物処理袋: トイレを我慢させないため、また周囲への配慮のために十分な量を用意します。
- タオル: 体を拭いたり、敷物にしたりと多様に使えます。
- 食器: 普段使い慣れているもの、または折りたたみ可能な携帯用のもの。
- 愛犬の写真: 迷子になってしまった場合に役立ちます。名前、年齢、特徴、連絡先などを書き添えておきましょう。
- 鑑札、狂犬病予防接種証明書、マイクロチップ登録証明書: 身元を証明するために必要になる場合があります。
- お気に入りのおもちゃやブランケット: 愛犬のストレス軽減に役立ちます。
- ウェットティッシュ、消臭スプレー: 清潔を保つために役立ちます。
これらのリストはあくまで一例です。愛犬の個性や健康状態に合わせて必要なものを追加してください。
もしもの時、どのように行動すればよいか
災害発生時の行動は、状況によって異なりますが、落ち着いて行動することが大切です。
自宅で被災した場合
揺れがおさまったら、まずは愛犬の安全を確保しましょう。怪我をしていないか確認し、安全な場所に移動させます。倒れてきそうな家具や割れたガラスなど、危険なものから遠ざけてください。可能であれば、すぐに持ち出せる場所に用意しておいた非常用持ち出し袋を確認します。
避難が必要になった場合に備え、すぐに愛犬を連れ出せる準備(リードをつける、クレートに入れるなど)をしておきましょう。
外出中に被災した場合
愛犬と一緒にいる時に被災した場合は、周囲の状況をよく確認し、安全な場所に移動します。建物や塀のそば、自動販売機などの転倒の恐れがある場所からは離れてください。リードをしっかり持ち、愛犬がパニックにならないよう落ち着いて声をかけます。
公共交通機関を利用中に被災した場合は、駅員や乗務員の指示に従ってください。電車内では揺れに備え、リードを短く持ち、愛犬を座席の下など安全な場所に誘導します。
避難が必要になったら
自治体の指示に従い、指定された避難場所へ向かいます。多くの避難所では、ペットは人間と同室ではなく、別のスペースで受け入れられる「同行避難」が基本となります(ケージなどでペットを連れて避難場所まで行くこと)。自治体によっては人間と同室で過ごせる「同伴避難」が可能な場合もありますが、数は多くありません。事前に自治体の防災情報で確認しておきましょう。
避難所では、他の避難者への配慮が必要です。無駄吠えを防ぐためのしつけや、ケージ・クレートに慣れさせておくことが、避難所でのストレス軽減とスムーズな受け入れにつながります。排泄物の処理、抜け毛の処理など、衛生管理にも十分注意してください。
日頃からの備えが最も重要
災害発生時に慌てずに行動するためには、日頃からの準備が不可欠です。
- 避難場所の確認: 自宅から最寄りの指定避難場所や、ペットと一緒に避難できる場所を事前に確認しておきましょう。複数のルートを知っておくと安心です。
- マイクロチップ装着と登録: 迷子になった時に身元確認ができるよう、マイクロチップを装着し、環境省のデータベースに登録することが法律で義務付けられています。
- 迷子札の装着: 首輪やハーネスに名前、飼い主の連絡先を書いた迷子札を付けておきましょう。
- ワクチン接種と健康管理: 避難所など他の動物が集まる場所では感染症のリスクが高まります。定期的なワクチン接種や健康診断は必ず行い、健康状態を把握しておきましょう。
- クレート・ケージ慣れ: 普段からクレートやケージの中で落ち着いて過ごせるように慣らしておきましょう。災害時だけでなく、通院や旅行の際にも役立ちます。
- 基本的なしつけ: 「待て」「おいで」などの基本的なしつけは、緊急時に愛犬の安全を守るために非常に重要です。
- 愛犬の写真や健康情報: 最新の写真を複数枚用意し、かかりつけの動物病院の連絡先や、既往歴、アレルギー情報などをまとめておくと、何かあった時に役立ちます。
まとめ
ペットとの暮らしは多くの癒やしと喜びをもたらしてくれますが、その命を守る責任も伴います。特に災害はいつ起こるかわかりません。初めて愛犬を迎えたばかりで不安なことも多いと思いますが、非常用持ち出し袋の準備、避難場所の確認、そして日頃からの健康管理やしつけなど、できることから一つずつ備えを進めていきましょう。
日頃からの備えは、愛犬との絆を深める機会でもあります。安全な環境で、安心して愛犬との癒やしの時間を過ごすためにも、ぜひこの機会に災害対策について考えてみてください。